一般社団法人 グローカル政策研究所

阿部孝則の『寡黙な麻雀王者』

第18回連載

鳳凰位を陥落した私はまたA 1リーグで1年間戦わなければなりません。
そしてその成績上位3名になり鳳凰位に挑戦しなければならないのです。
リーグ戦でのリベンジに燃える私ですが、他にも毎年参加している公式戦がいくつかあります。
その中の1つに麻雀マスターズがあります。
私が入会してすぐの頃に設立された比較的新しいタイトル戦で麻雀プロのみならず一般の参加も認められるオールカマーのタイトル戦になっています。
なぜ今までこの話が出てこなかったのかというと、まず予選だけでもいくつもの関門があります。
更に本戦は200人規模の大会形式となりその上位20%程に残るのも至難の技です。
そこから更に狭き門を潜り抜けようやく決勝戦に辿り着きます。
そう私も第1期から毎年参加していますが一度も良いところまで勝ち進んだことがなかったのです。
なので敢えて触れてこなかったというのが本当のところです。
ですが今回は少し違いました。
鳳凰位になったことで予選が免除され本戦にシードがもらえたことも大きかったと思います。
約1ヶ月にも及ぶ長い日程を戦い抜き決勝まで勝ち進んだのです。
決勝はMリーグにも在籍していた藤崎さんと石橋さんそしてアマチュアの方と私の4人で争われることになりました。

決勝は5回戦で短期決戦となります。
短期戦では最初に出遅れないことがかなり重要です。
私はいつものように慎重に良いスタートを切ることができ感触としては悪くありません。
途中は藤崎さん石橋さん私の3人が接戦の状態が続きます。
そして迎えた最終5回戦。
藤崎さん、私、石橋さんそしてアマチュアの方というトータル順位です。
私と藤崎さんはほぼ着順勝負で着順が上の方が優勝となります。
石橋さんはかなり大きめのトップが必要でいくつかの条件があります。
私は藤崎さんより上の着順でオーラスを迎えます。
このまま終われば優勝です。
しかしその親は藤崎さんです。
すでに優勝の目がなくなった石橋さんとアマチュアは何もしてこない事が考えられ、
ラス親の藤崎さんにとってはかなり有利な状況です。
この半荘を終わらせる人が私しかいない状況はかなり不利と言えます。
藤崎さんが軽い連荘で親を繋げます。
トータルではまだ私のほうが上です。
そして次局、早い巡目で藤崎さんからリーチがとんできます。
仮に満貫クラスをツモられたとしてもほぼ並びですが、放銃してしまうと私はかなり苦しくなります。
リーチを受けた時にイーシャンテンだった私は数巡後テンパイします。
マチは南と北のシャンポンマチです。

『どうする?!!!
リーチをしなくても南ならアガれる
ダマテンにしておけば危険牌を持ってきたらオリたり回すこともできる
おそらく直撃されたら次局は相当苦しくなり、流局して藤崎さんに伏せられたら負ける』

しかしこのマチなら2件リーチで手が詰まればオリ打ちも期待できます。
私はここで勝負に出ます。
リーチを宣言し藤崎さんに真っ向勝負を挑んだのです。
数巡後、藤崎さんの指先から北がこぼれ落ちました。
私は勝負所を制し第15期麻雀マスターズの称号を獲得しました。
鳳凰位を陥落した直後のオープンタイトル獲得はまた新らしい大きな経験と自信につながりました。

第19回連載へ続く...

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