一般社団法人 グローカル政策研究所

阿部孝則の『寡黙な麻雀王者』

第12回連載

前回では鳳凰位決定戦を連覇という最高の形で締めくくり、また新たな年度を迎えることになる私でした。
ここで少し分かりにくかったリーグ戦の説明をさせて戴こうと思います。
日本プロ麻雀連盟では年間を通して行われるリーグ戦のことを鳳凰位戦と呼んでいます。その頂点に君臨するのが鳳凰位というわけです。
鳳凰位各リーグは鳳凰位以下このようなピラミッド型になっています。
私が入会した当初はB2リーグまでしかありませんでしたが、現在はD 1リーグまであり今後もクラス、人数共に増加していくことが予想されています。
連動する各リーグは成績により昇降級があります。
例えばA 1リーグの成績下位2名とA 2リーグの成績上位2名は入れ替わることになります。
こうして昇降級を繰り返しより上のリーグ、最終的にはA 1リーグを目指していきます。
そしてA 1リーグの成績上位3名だけが鳳凰位決定戦に進出することができるのです。

こうして鳳凰位2連覇を達成した私には今まで得られなかった仕事のオファーが増えることになります。
まず麻雀格闘倶楽部というKONAMIのアーケードゲームの出演依頼が来ます。
これに出演できるという事は名実共に団体の顔となったいうことです。
当然ですが相当嬉しかったことを覚えています。
まず一年毎の契約で契約金が貰えるのは大きなことです。
また麻雀ゲームの対局をする度に対局料が貰えます。
その際ゲームセンターで麻雀ゲームをする為の費用は自腹なのですが、ある日こんな事がありました。
月のノルマがあるため、休日に初めて行ったゲームセンターで麻雀格闘倶楽部をしていると合間にお店の人に話しかけられます。
店長『あのすみません、阿部孝則プロですよね?』
私『はい、そうです』
少しびっくりする私。
店長『私ここの店長をしている者ですが、当店でプレイして頂き有難う御座います。よろしければクレジットはこちらでご用意しますので、心ゆくまでプレイなさっていって下さい』
私『え?!良いんですか?ありがとうございます!』
そんなことあるのか?信じられない!
本来自腹のゲーム代をお店が負担してくれることも嬉しかったのですが、何より私の事を知っていて更にリスペクトしてくれていることがとても嬉しかったのです。
10ゲームほどプレイし店長にお礼を言いに行くと、
店長『こちらこそ有難う御座います!出来ればサインもお願いできないでしょうか?』
私『もちろん僕のサインで良ければ』
とサインまで求められ更にびっくりです。
サインを書き店長に手渡すと
店長『有難う御座います、お店に飾らせて頂きます!また当店にお越しの際にはお声掛け下さい!』
などと言われ気分は正に有頂天です。
このあとこのお店には当然ながらしばらく通うことになります。

連覇したことで得られた次の仕事はMONDO21麻雀チャンネルの出演以来です。
CSのこのチャンネルはプロによる放送対局が行われていました。
今日は当たり前となった競技麻雀の放送対局の先駆けとなった番組でした。
CS放送とはいえ今まで放送対局などした事がありません。
私は神妙な面持ちでオファーを受けることとなります。
しかしやるのは麻雀です。
この時の私は正に怖いもの知らずの有頂天です。
MONDO21杯はその時のタイトルホルダーと実力上位と言われていたプロ11名に芸能界最強と言われた萩原聖人さんを加えた12名で行われます。
当然のことながら師匠の安藤さんも出演します。
遂に安藤さんと同じ土俵に立てる時がきた!しかも放送対局である。
私は静かに闘志を燃やしその時を今か今かと待っているのでした。

第13回連載へ続く...

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