一般社団法人 グローカル政策研究所

阿部孝則の『寡黙な麻雀王者』

第6回連載

大盛況で終わった大会翌日。
今日はフリー対局でのゲストです。
一定時間麻雀を打ちお店からギャラを頂くという仕組みです。
そして対局の合間には人生初のサインや写真をお願いされたりしました。
正直私ごときのサインとか写真とかって…とは思いましたが、少し照れ臭くてちょっぴり嬉しい出来事になりました。
夕方になりゲストの仕事を終えるとまた宴席は用意されています。
連日の豪勢な食事と美味しいお酒も京都ゲストは今日が最終日。
すると安藤さんが『阿部はどうする?明日帰るのか?』
ええ?!何も聞いてない私は『明後日から仕事があるので帰ります、安藤さんは帰らないんですか?』
『ああもう少し京都にいるよ、阿部も暇ならどうかと思ったんだが、それなら仕方ないな』
『居たいのは山々ですが残念です』
常勤している雀荘には今回のゲストで無理を言って連休をもらっているのでこれ以上は迷惑をかけられません。
翌日のお昼過ぎ、安藤さんとお世話になった雀荘オーナーに深々と頭を下げお礼を言って別れます。
帰りの新幹線で缶ビールを飲みながら、今回のゲストでの数々の貴重な経験と楽しかった数日間の出来事を思いだします。
俺もいつか安藤さんのようなプロ雀士になれるのかな?まあ無理かも知れないけど自分に出来ることを頑張るしかないな。
そしてまたいつもの日常に戻っていくのでした。

この頃の私は30代前半、競技麻雀プロになり10年以上の時が過ぎていました。
リーグ戦では目標とするA 1リーグのすぐ下のA 2リーグまで来ていましたが昇級の門は狭く、ここでもかれこれ数年の足踏み状態が続いていましたが、34歳の時に遂にA 1リーグ入りを果たします。
しかしプライベートでは入籍していた歳上の女性とはこの頃離婚しています。
そのことで色々親身になって相談に乗ってくれたのが同じ連盟に所属する後輩の河野高志でした。
安藤研究会という安藤さんが主催する私設リーグに参加していた私達は年代も近いこともあり親しい関係になっていました。
他にも現在Mリーグで活躍する多井隆晴、村上淳などもそのメンバーにいました。

結果的に私は河野の部屋にしばらくお世話になることになります。
そのことによって生まれるお話は漫画のような奇跡のようなお話なのですが、それは次回以降のお楽しみ!ということにしておきましょう!

第7回連載へ続く...

COLUMN

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