一般社団法人 グローカル政策研究所

町田徹 21世紀のエピグラム

IGPRは、平和の維持にも貢献します。

 この夏、日本は第2次世界大戦の終結から75年の節目を迎えました。新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態の最中、あの戦争と平和の有り難さに思いを巡らせた方も多かったことでしょう。統計の数字は様々ですが、平均的なものをみても、日本では軍民あわせて310万人が、全世界では6000万人が尊い命を失ったとされています。こうした惨劇を2度と繰り返さないよう、力を尽くすことが求められています。
 そこで深く胸に刻まなければならないのが、吹き荒れた関税・貿易を巡る保護主義の台頭から、軍事衝突に突き進んだ、太平洋戦争の開戦の歴史です。
 実は、この2020年夏も、当時とよく似た状況が環太平洋地域で形成されつつあります。その主役は、世界1、2位の経済大国である米国と中国で、両国と関係の深い日本が巻き込まれるリスクは高まる一方と言わざるを得ません。
最近では、米国のポンペイオ国務長官が7月半ばの公式記者会見の場で突如、「米国は合法的な領有権や海洋権益を中国に侵害されている世界中のすべての国々を支援していく」「あらゆる手段を尽くす」と発言。南シナ海と東シナ海の広い範囲で領有権を主張する中国との対決姿勢を鮮明にしました。念頭には、フィリピンやベトナム、台湾だけでなく、日本固有の領土である尖閣諸島の防衛もあるとされています。
ポンペイオ発言により、米中の対立は、保護主義が剥き出しとなった貿易戦争や技術覇権争いなど経済分野にとどまらず、香港や新疆ウイグル自治区の人権抑圧と自治の問題、新型コロナウイルスのパンデミックを招いた感染症対策の責任問題を絡めて、今回の南・東シナ海の領有権という安全保障分野にまで広がってしまいました。
そうした中、一般社団法人グローカル政策研究所(IGPR)、そして設立者である川村雄介代表理事の持ち味は、米中両国はもちろん、日本の地方経済社会まで幅広く厚いネットワークを持っていることです。IGPRは経済的な結びつきの強化を入り口に、平和の維持に貢献できるシンクタンクかつアドバイザリー集団です。今後の活動に注目いただきますよう、フェローの1人としてお願い申し上げます。
次回からは月に2回程度のペースで、時事マターを題材にしたコラムを書かせていただきます。

2020年8月25日

COLUMN

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