一般社団法人 グローカル政策研究所

N'est-ce Pas?

緊急ルポ 台湾に日本のアート文化を見た

物事や人とのコミュニケーションがわたしをどのように感じさせているか、そしてわたしから世界はどのように見えているかを理解してほしい。

これはおそらく私が抱え続けている悩みであり唯一の悩みかもしれないが、これをポジティブに捉えられるようなことがあった。

先日突然台湾に行くと決めた。
私が思春期の頃から尊敬し、憧れ、追いかけ続けているアーティスト、戸川純が台湾でライブをするという。
彼女は80年代に日本で'少し変わった女の子'、いやそれは聞こえが良すぎる。きっと今の言葉で言えば'メンヘラ'として人々に捉えられていただろう。私は彼女が最も日本で活躍(あくまで一般的な言い方なので私はこうは思わない)していた80年代にリアルタイムで彼女をテレビで見ていた人たちから、今まで彼女について散々話を聞いてきた。それは'不思議ちゃん'のようにオブラートに包まれた形で言われることが多いが、私は本当の彼女のイメージを知りたいので、1人の彼女の熱狂的なファンとして、たくさんの人に正直な彼女の印象を聞き続けてきた。
はっきり言って日本での一般的な彼女のイメージは良くない。と思う。暗く、ネガティヴだったり、また'マニアックな世界なのでよくわからない'という非常に曖昧で、嫌いなものに対して悪口を言いたくない時に使う言葉で逃げられる。

なぜそんな風に思われているのか?私は本当にわからなかった。彼女の書いた歌詞をきちんと読んだことがあるのか?パフォーマンスを見たことは?ないのであれば、なぜ見ようとしないのか。きっと彼女にまつわるイメージの問題だろう。一度自殺未遂のようなことを起こせば、もうそれはネガティヴなイメージに変わってしまうのか。
なぜ彼女が追い詰められたのか、彼女自身にしかわからないのに、起こったことがネガティヴでショッキングであれば、人々はそれを煙たがり見ないように避ける傾向にあると思う。
少なくとも日本に30年以上住んでいて、この国にはそんな風潮があり、それを私は大嫌いだ。

ただもう一方で…。規模が決して大きいとは言えない彼女の日本でのライブに、私は都合のつく限り全て行っているが、客層に海外の方たちが多い。彼女の過去の映像やインタビューを見ていると、ニューヨークで人気があり、何度も過去にライブを行っている。また私の好きなロリィタファッションを通じて仲良くなった海外の友人たちは、皆ジュントガワが大好きだと言う。海外ではロリィタの元祖は戸川純だと言われているらしい。ロリィタファッションも良い歳になっても着続けていれば、日本では変人を見るような視線を浴びせられるのは言うまでもない。

ところで気がつけば、私の友だちは8割が海外、日本以外の国の出身だ。友だちになるきっかけは日本初のファッションであるロリィタファッションや、日本人アーティストの戸川純や後述する平沢進であり今敏である。自国の友だちは極めて少ないのに自国のカルチャーで他国出身の方々と仲良くなる。

話は戻るが、こんな状況の中わたしは突然台湾行きを決行した。
観光など興味はなく、ただ戸川純のライブを見るための1人きりでの1泊旅行である。

うにふり

台湾

COLUMN

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